本書はこれまで社寺の縁起としてしか取り上げられなかった拝島大師本覚院の由来事績を、歴史学・文学など文系諸学などの総合的観点で考察する、つまり拝島大師の歴史文化を分析しようとするものです。それにより拝島大師信仰の伝統の全貌が明らかになります。これは一面では、拝島大師の正史編纂の企図であって、今日の地方創建の時代的要請とも関連するものです。また、拝島大師の地域社会における歴史文化像を正確に描写するのは、多摩地区及び南関東西部山岳周縁地域社会の人びとの生活文化の伝統を知るよい素材を提供し、それを通じて拝島大師信仰の普遍性を理解できるものです。多くの人びとの本書の閲覧を懇請するものです。
主要目次
第一章 元三大師良源の生涯、第二章 元三大師信仰の歴史文化、第三章 平安・鎌倉・室町期古典文芸に描かれた元三・慈恵大師良源、第四章 拝島大師の創建の歴史 第五章 江戸近世の拝島大師 第六章 文政期、中興義順住職大師堂再建と元三大師御開帳 第七章 安政年間、拝島大師本覚院『大般若波羅蜜多経』六百巻納経者 第八章 拝島大師堂坂開通と「拝島大師」の成立 第九章 拝島大師本堂向拝浜縁造営と智海尼の生涯 第十章 明治・大正・昭和戦前期の拝島大師 第十一章昭和戦後期の拝島大師 第十二章 昭和期末期・平成時代の拝島大師
◆岩田書院、2020年(令和2年)1月1日刊、定価本体1,800円
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