【漢字講座】第40 北(ホクまたハイ・へ、きた)

これまで本【漢字講座】では36回に東、37回に南、38回に西と東西南北の四至、方角表示の漢字の説明をしてきました。残るは北です。北は音がホクですが、中国の近年ではハイ・へ、訓が「きた」です。漢字分類は会意で、北の漢字の左右の二人があい背く形とされます。部首は右のヒという字です。ヒは「ならぶ」「したしむ」意でしゃもじ、さじの形ですが、「やじり」の意味からヒ首は短剣、「あいくち」の意味もあります。ヒを「あいくち」としてもう少し漢字の形を明確にした字形に匕があります。さて、北の漢字の意味に戻りますが、「軍にそむき走るを北といい」とあり、敗北の意味が北にははじめからあったのです。でも、「人の坐立皆明に面し闇に背く故に南の反対を北とする」とありますが、これは分かり易い説明で、方角としては南の反対というのですから、先の南の意味を思い出してください。南風は暖かいが、北風は冷たい。今頃の日本では痛感されます。北の防風林は防寒林でもあります。関東平野の常識ですが、日本列島の自然は多様です。四国の香川県、九州福岡県、さらに山陰の山口・島根・鳥取の中国地方、兵庫・京都、福井、石川、富山、新潟、山形、秋田、青森、それに北海道と反対に沖縄県などは北が海で、関東とは違う環境があります。それにしても北半球では北は寒く、南は暖かいのは動きません。中国の政治の中枢は都城の北部にあり南をにらみます。それが13世紀の元王朝以来、七百年以上北部中国の北京を首都として今日に至っています。この国から到来した新型コロナに何としても敗北してはいけません。