【漢字講座】第42 卯・兎(う、うさぎ)

今年の干支は癸卯(みずのとう、きぼう)です。これを日本では「うさぎどし」とし、年賀状にも兎の絵が付いています。

【卯】卯は子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥の十二支の第四位。「う」ですが、日本では「うさぎ」とも読みます。さて、卯は、方位では東方、時刻では明け六つ、すなわち今の時刻で午前六時です。五行では木に配し、動物では兎に当てます。卯は門の扉を左右に開いた形に象ります。故に本義は門をひらいたさまで、万物が地をおし開いて出る、つまり春の野原の様子です。月では本来は十一月が正月、四番目の卯は二月でしたが、日本では平安時代より四番目の月で、四月を卯月といいました。なお、兎の漢字は本字は兔で、うさぎが座ってその尾を出している形を象ります。上部は頭です。月に兎の形、あるいはうすで餅(米)を撞いている図像があるとして、兎を月の異称とします。卯年(うどし)の守り本尊は文殊菩薩です。拝島大師では山門文殊楼に文殊菩薩を祀り、正月成人の日には、「三人寄れば文殊の知恵」にあやかって、受験合格、学業成就祈願が行われます。

【癸】まず癸という字はどんな意味でしょう。甲乙丙丁戊己庚辛壬癸を十干とします。木火土金水の五行を各々兄弟(え・と)に分けて配したもので、甲(きのえ)乙(きのと)、丙(ひのえ)丁(ひのと)、戊(つちのえ)己(つちのと)、庚(かのえ)辛(かのと)、壬(みずのえ)癸(みずのと)と読みます。癸は十干の末位で、四季では其の終りの冬、方位では北、五行では水に当ります。

兎は耳が長く、後ろ足は前足より長く、口には長いヒゲがあります。上唇は縦に裂けて、草食に適しています。アンゴラ、チンチラ、日本白色種などは家畜化したイエウサギで、ほかにノウサギ、ユキウサギ、アマミノクロウサギなど野生種もあります。肉は食用に、毛は羊毛とまぜたり、筆の材料にしたり有用です。「うさぎに祭文」馬の耳に念仏と同じ。「うさぎの昼寝」亀と競争して負けたことから、油断して思わぬ失敗を招くこと。用心大切です。「うさぎの耳」耳早いこと。『あの人はうさぎ耳だから大きな声出すな。』「うさぎ兎、何みて跳ねる、十五夜お月様、見て跳ねる」とわらべ歌にも親しまれ、長い耳をピンと立て、情報にはすばやく対応する、兎跳びの素敵な年になりますように。