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古典会だより-衆人愛敬しゅうにんあいぎょう寿福増長じゅふくぞうちょう-

延喜5年(905)撰集の『古今和歌集』仮名序に「やまとうた(和歌)は、人の心をたね(種)として、よろづのことの葉とぞなれりける。世の中にある人、ことわざしげきものなれば、心に思ふことを、見るもの、聞くものにつけて、言ひいだせるなり。・・・ちから力をも入れずして、あめつち天地を動かし、目に見えぬ鬼神をも、あはれと思はせ、おとこ女の仲をもやはら和げ、たけき猛もののふ武士の心をも、慰むるは歌なり」と歌の真意を述べています。 続きを読む

古典会だより-春の七草 ハコベ-

ハコベラ、ハクベラ、アサシラゲ 蘩縷・蘩婁・鵝腸・鵝腸菜
我が国いたるところのやや陰地に好んで自生するナデシコ科の二年生草本。ほぼ世界中に分布。鶏のヒナが好んでついばむところからヒヨコグサと呼ぶ地方が多く、英語もchick-weed(ヒヨコ草)とする。ナデシコ科はナデシコやセキチクのように花が大きくてきれいなものやハコベやミミナグサのように小さくて目立たない花もあり、一見違って見えますが、茎の節がはっきりしていて、葉は対生、花は五まいのがく、五まいの花びら、十本のおしべと一本のめしべからなり、果実は熟すと裂け,沢山の種子が出来ることなどの共通点があり、アメリカナデシコ、セキチク、ナデシコ、カ―ネ―ション、ハコベ、ミミナグサ、ノミノフスマ、ムシトリナデシコ、カスミソウ、ツメクサなど多彩です。
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古典会だより-お正月

日本の国は、春夏秋冬と、四季の変化に恵まれ、折々の節目を大切にし、楽しんで来ました。旧暦一月二月三月は春、四月五月六月は夏、七月八月九月は秋、十月十一月十二月は冬とし、自然、人事、事物でも各季節を表し、語句一旬で豊富な内容を展開します。『俳句歳時記』に載る季題、季語は旧暦、新暦(今使われている暦)でほぼ一ヶ月のズレがあるため、「七夕」のように季節は夏ではなくて秋の季語になっていたりして、多少の違いがありますが、おおむね当たっているところしょう。
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古典会だより-秋の七草・撫子 瞿麦 なでしこ ナデシコ

万葉集』に山上憶良(六六〇-七三三)の「秋の野に咲きたる花を指折りかきかぞふれば七種の花」「萩の花、尾花、葛花、瞿麦の花、女郎花、また藤袴、朝顔の花」とありますが、秋の七草は日本固有種で、「ハギ、ススキ、キキョウ、ナデシコ、オミナエシ、クズ、フジバカマこれぞ七草」と親しみ口づさまれ、千三百年以上も前から観賞用として姿、形、香りの良さが愛されて来ましたが、食用、薬用、建築工芸用にと、実に多様で有用なものでした。
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古典会だより-お彼岸(ひがん)-

日本は春夏秋冬、四季の移り変わりに恵まれ、それぞれの季節のはじまり、真っ盛り、終わりを大切に考えてきました。小寒・大寒・節分・立春・雨水・啓蟄・春分・穀雨・立夏・芒種・入梅・夏至・小暑・大暑・立秋・白露・秋分・寒露・霜降・立冬・小雪・大雪・冬至などの言葉があります。各季節の順当なめぐりを願って、立春・立夏・立秋・立冬の前の18日間は土用と言いますが、夏の土用が代表です。
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古典会だより-鯉 鯉のぼり

△鯉はコイ科の淡水硬骨魚。上あごに2対のヒゲがあり、口には歯がなく、のどに10個の臼歯。頭を除いて表面は丈夫な丸形鱗でおおわれ、背面一列はおよそ36枚なので、別名六六魚とも言われ、「六六変じて九九鱗となる」と言う中国の諺は、龍は81枚の鱗があるとされての話です。河南省洛陽上流で山西省から陝西省に黄河を渡る辺りに「龍門」と呼ばれる急瀬があり、特に優秀な鯉だけが登って龍になると言われ「登龍門」の言葉が生まれ「出世魚」と称されました。 続きを読む

古典会だより-春の七草 オギョウ ハハコグサ―

△母子草、ハハコグサ、ホウコグサ、オギョウとも呼ばれ、日当たりの良い道ばた、野原に自生するキク科の二年生草本。東アジアの温帯から熱帯に広く分布。高さ10~40㎝。秋に芽を出し、冬から早春に根生葉を出す。若葉は白い綿毛でおおわれ、やがてもとで分かれた茎が伸び、茎葉は互生し、線状へら形で縁はやや波状、先はまるみをおび、厚みがあって白い綿毛が密生し全緑色。
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古典会だより-梅、春告草、匂草、香散見草

バラ科の落葉喬木。桃、桜、杏、花梨などと同じ仲間で、葉より先に花が咲き、しかもいずれもそれぞれ図抜けて美しく、果実は食用、薬用共に有効です。とりわけ梅は、未だ寒中の早春に百花にさきがけ、高い香気を放って馥郁と咲き、気品ある清雅な花として好まれてきました。『万葉集』では一四〇首の萩に次いで数多く(一〇〇余首)取り上げられ(桜は四〇余首)、野山のだけでなく古くから庭に植え、愛好されてきました。春告草(はるつげぐさ)、匂草(においぐさ)、香散見草(かざみぐさ)、香栄草(かばえぐさ)、初名草(はつなぐさ)、好文木(こうぶんぼく)、木花(このはな)などの愛称もあります。
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古典会だより-秋の七草詳解・桔梗キキョウ-

『万葉集』山上憶良(六六〇-七三三)「秋の野に咲きたる花を指折りかきかぞふれば七種の花」「萩の花、尾花、葛花、なでしこの花、おみなえし、また藤袴、あさがほの花」とあり、今回の秋の七草はキキョウ

☆桔梗キキョウ キキョウ科の多年草。古名はアサガオ、キチコウ。日当りの良い山野に自生。観賞用にも栽培。茎は〇・五~一メ-トル、切ると白い汁が出ます。根は人参のように地中に伸び、淡黄白色の太いヒゲ根を出し、葉は互生、長卵形で先はとがり、縁に鋸歯があり、裏は粉白色です。夏から秋にかけて、分かれた茎枝の頂に、青紫色または白色の釣り鐘形で先が五裂の鮮麗な花をつけます。根にはサポニンを含み、去痰作用が有り、種々の漢方薬や家庭薬に、粉末あるいは煎じて服用します。夏に根を掘って水洗いし、細根を除き、日光に当て乾燥します。また、若苗と根は食用にもなり、『救荒本草抜萃』に、「苗はよくゆで、よくひたして食う。老葉は干していり粉にすべし」とあり、救荒植物の一つでもあり、実に有用です。 続きを読む

古典会だより-お彼岸 お萩 山頭火-

旧暦二月、八月は今の三月、九月で、季節は春と秋。春の彼岸は冬至から太陽が少しずつ勢いを増し、夜と昼の長さ、寒暖の差が変転し、草も木も生き物すべてが活動をはじめる節目の七日間で、三月二十日ごろを中心として中日、春分の日と言い、三日前の初日を彼岸の入り、三日後の最後は彼岸の明けと言われ、農作物が順調に育ち生物が繁茂して行くのを願います。秋の彼岸は夏至から猛威を奮った太陽が勢いを弱め、昼と夜の長さも変わり目で、九月二十三日ころが中日で秋分の日とされ、生き物達も成熟、収穫、休息期に向かいます。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われます。時には「なに事ぞ彼岸過ぎてのこの暑さ(或いはこの寒さ)」もありますが。
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