拝島大師旧本堂大黒さん奥に薬師如来・日光菩薩・月光菩薩、それに十二神将が揃いました。薬師如来、お薬師さんについて前号の続きです。
○薬師如来は病気を治してくれる仏さまだと信仰されましたが、考えて見れば、人間、いつかは病気になります。病気になると、どうぞ病気を治して下さい。早く病気の苦しみから楽にして下さいと神仏に祈ります。拝島大師に祀る元三大師さまは病気平癒で御利益ありと古来厚い信仰が持たれて来ました。
○日本では仏教伝来間もない飛鳥時代を代表する法隆寺金堂の10号壁画に薬師浄土が描かれています。薬師如来が日光菩薩、月光菩薩を伴う薬師三尊です。東方薬師瑠璃光浄土とされます。因みに法隆寺金堂には釈迦如来と文殊・普賢両菩薩の釈迦三尊で釈迦浄土、阿弥陀如来と観音・勢至の両菩薩の阿弥陀三尊で西方極楽浄土、それと北方弥勒浄土です。釈迦の浄土は現在の仏の浄土、阿弥陀浄土は死後来世の彼岸の浄土、弥勒浄土は五十六億七千万年後の遠い遠い未来の世、浄土です。
○浄土は理想郷、苦しみなく楽しいことばかりが在るところ、極楽です。そこまで行かなくとも病気がない世界に人びとは憧れます。
次に七世紀の白鳳時代は奈良西の京の薬師寺金堂・講堂の本尊は堂々としたブロンズ青銅製の薬師三尊です。その台座には青龍・白虎・朱雀・玄武の東西南北の四神を作っています。この四神は人びとを守ってくれる守護神です。さらに奈良時代では新薬師寺に十二神将が護法神として取り囲んでいます。薬師如来、また日光、月光両菩薩を脇士として薬師三尊、その廻りに鎧、兜に身を固めた武将の姿の十二神将が眷属として従っています。誠に賑やかな、むしろドラマを演じているような仏さまの群像です。これが薬師如来のご一行ですが、人々に何を教え、いかなるご利益を与えてくれるのでしょう。
○薬師瑠璃光浄土といい、東方にある浄土に薬師如来は教主として居られます。十二神将は星座の星たちの光、それらが全体として煌びやかに光輝いている三光天子の世界です。次に自らも瑠璃光の光を放ち、それに日光・月光の両菩薩も昼夜光を放ちます。日光菩薩、月光菩薩はどんな菩薩であるか、十二神将はそれぞれの名前の意味は何であるかなどなど、沢山の疑問に答えましょう。次回の楽しみです。