釈迦如来、お釈迦さまの話-その25-

釈迦三尊 お釈迦さまは単独で祀られるより、左右に文殊・普賢の両菩薩を従えた釈迦三尊の形式が多いのです。お釈迦様だけでなく、日光・月光の両菩薩の薬師三尊、観音・勢至の両菩薩を従えた阿弥陀三尊、弥陀三尊など顕教の仏像は三尊形式がはっきりしています。ただ、釈迦三尊や薬師三尊には左右の脇侍を薬王・薬上菩薩とすることもあります。いずれにしても中尊と脇侍、左右の両侍の菩薩の一組で、インドに起源があります。三尊の脇侍の意味は中尊の仏陀としての意味に関係があります。薬師三尊の場合は中尊薬師如来は人びとの病をいやし、苦悩を救う仏で、大医王仏・医王善逝(いおうぜんぜい)と呼ばれます。手の掌の上に薬壷を持つことが多いのですが、脇侍の日光・月光両菩薩は日まち、月まちじっくり薬の効くのを待つのです。阿弥陀如来の観音・勢至の両菩薩の阿弥陀三尊は、三尊来迎の信仰に依ります。念仏行者の臨終に際して、阿弥陀如来が観音・勢至の両菩薩を行者の枕辺に送り、観音菩薩は蓮台を行者に差し出し、これにお乗りなさいと言い、勢至菩薩は心配しなくて良いですよ、これから極楽浄土の阿弥陀さまのところへ行くのですと言います。薬師三尊、阿弥陀三尊、いずれも両脇侍は中尊仏陀の働きを助けるのです。さて、釈迦三尊の文殊・普賢の両菩薩はいかがでしょう。文殊菩薩はけがれのない仏の智慧を表わす菩薩で、対する普賢菩薩は仏の理・定・行の徳を司る菩薩です。文殊菩薩は釈迦の教説を聞き、理解しようと思う仏教者にどうしたら難解な仏説を理解できるかの智慧を与え、普賢菩薩は釈迦の教説を理解して修行し、悟りの境地に入ろうとするものの成果判定の役をします。文殊菩薩は百獣の王獅子に乗り、利剣を持って、煩悩穢れを断ち切り精進する堅固の精神を鍛えます。普賢菩薩は六白牙の象に乗り、法華行者の六根清浄、懺悔懺悔の内容を鑑定するのです。また文殊菩薩は悉皆空の般若空を司るに対して普賢菩薩は一切の三昧を司り、仏のさとりの境地に仏教者の修行の鑑定をするのです。釈迦三尊は釈迦如来の仏陀としての壮大な多様性による衆生救済を入り口、出口で丁寧に助けてくれるのです。