拝島大師にこの度五重塔が建立されました。五重塔は屋根を五つ重ねます。そこで重という漢字について考えてみます。
でも、重と言う漢字は解字が難しい。部首は里ですが、田あり土あり、人の居り住むべき所、すなわちむら、さと、また町マチを意味します。重は里の上につくもので意味が大きく二つになります。熟語を引いて説明すると分かり易い。まず、一群として、重荷はおもい荷物で、重は「おもい」の意味です。「おもさ」でもあります。重軽また軽重・重圧・重厚ですが、近代では重機・重装備・重心・重油・重量・重力・重工業・重農・重金があります。「おもい」の意味が実際に物体の重量ではなく、「おもい」が「おもんずる」「たっとぶ」「貴重な」という精神的な用法には貴重・重愛・重位・重恩・重価・重器・重貨・重権・重言・重策・重視・重使・重要・重事・重職・重臣・重責・重体・重大・重鎮などがあります、おなじ「おもい」でもよくない、うれしくない意味の「おもい」は重患・重傷・重税があります。刑罰にも「おもい」「かるい」があり、重科・重刑・重罪・重囚があり、特別な意味では重淵は「深い」という意味です。
さて、重の意味の第二群は「かさねる」「かさなる」の意味ですが、重衣・重宇・重屋・重雲・重曜・重葉・重閣・重刊・重刻・重版・重起・重句・賞・重禍・重環・重圏・重五(五月五日)・重陽(九月九日)・重婚・重箱・重修・重世・重代・重選・重層・重陳・重複など。重難はかさねがさねの難儀で重大な災難では有りません。重任も再任、かさねての任務。重味は「かさねあじ」。重命は二度の命令。「かさね」も多様な用例があります。重という漢字にはなかなか奥深い意味があります。重々注意したいものです。さて重々は「重い重い」という意味でしょうか、「かさねかさね」でしょうか。これも難問です。今回はここまで。