【漢字講座】果・菓(か)

前回は初夏から盛夏、緑濃くなる頃でしたので、漢字の葉を取り上げました。その前の春は花でした。今回は花が変じて果になり、葉から栄養をもらってまるまると大きくなった果の漢字を取り上げましょう。

果は木の上になる田ですが、梅・桃・李スモモ・桜・ぼけ・花梨・リンゴ、それぞれの果実、さらに柿・梨・栗など、木になる木の実、くだものを意味します。果の字は分かり易い象形文字で木の上になる実、くだものですが、はじまりは○の中に+がある字でした。ところが、漢字を生んだ国である中国では、二千年前の漢時代のころ、すでに果物に瓜や西瓜を入れてよいかが議論されたようです。瓜や西瓜は木の上になりません。地面にはう草の蔓になるのです。葡萄はどうでしょう。そこで果に艸冠を付けた菓という漢字が果と同じに使われました。菓子ははじめは果物を言い、瓜や西瓜、葡萄など草の蔓になるものを言ったのです。

この菓子は中国の唐時代には小麦粉を使ったお菓子を意味します。このばあいには菓の漢字を使います。日本の奈良時代から平安時代前期の時代には中国の唐から小麦粉のお菓子が入ってきました。ただ、日本では大麦を使った麦こがしや大豆粉のきなこ、さらに米の粉の餅などがお菓子だったのです。

お菓子が現れても、果物の人気は衰えません。水菓子という果物を指す言葉も現れました。でも渋柿を干した干し柿の甘みは平安時代の女性に特に好まれたようです。ここでいつものように果の漢字の意味の展開や果の字を使った用語を見てみましょう。

果が果実の意味から転じた「まこと」から、動詞に使われて「なる」「はたす」となりました。「おもいきりがよい」という意味は熟語の果断、果敢、果勇です。仏教用語に絡むと、因果応報がありますが、原因と結果の関係になります。善因善果、悪因悪果です。よく努力して勉強したり、よく働いたりすると、良い結果がでます。それを果報といいます。「果報は寝て待て」ではいけません。努力努力。

最後に果物の話です。紫式部『源氏物語』東屋の一文に次が有ります。
○目とどめ給ふほどに、果物急にぞ見えける。
果物急とは「くだものいそぎ」と読み、ここでは出された果物にすぐ手を出したがるというのです。いつの時代も女性は果物が大好きだったのです。もっとも果物くだものは、「くださりもの(下さり物)」の略だということも考えられます。平安時代の女房言葉だという説も重要です。天が下さったとは今でも果物の有難みを想うことになります。