【漢字講座】第29 和(わ・やはらぐ)

五月一日からの新しい年号の令和(れいわ)に因み前回は令の漢字を考えましたが今回は和を扱って見ましょう。和の漢字の部首は禾ではありません。私・秋・称・租・稚・程・秘・利。稻などのノ木偏の漢字の仲間ではありません。右側の口が部首ですが、口偏はまず左側に口があります。叩・叶・吐・吼・叱・呪・呼・味・吸・吹・咽・唱・唯・喫などですが、いずれも何らか口を使って動作するの意味がある漢字です。文字通り口偏(くちへん)ですが、口が左ではなく、和のように右に付いたり、古・右・台・吉・各・合・名・后・君・否・告・哲のように下に付いたり、史・呈・吊・員のように上に付いたりします。咒・哭は二つも上に口が付きます。字の真ん中に付いたのは同・吏・向・周・哀が有ります。命はどこに口が付いているか探してください。でも口がどこに付いても何らか口に関係する漢字です。
さて、和は第一の意味は「こえを合わせる」ですが、二人以上が声を合わせ、声音を合わせると、「答える、応える」となり、中国では他の人が作った詩の韻(音、声調)を用いて詩を作ることを言い、日本の和歌では懸け合いをする、返事をする歌を作ることを言います。これから和には「応じる」意味があります。また、「こえを合わせる」もあります。それから堅くも柔らくもない、ほどよい、中和の意味から「やわらぐ」意味や、「仲直りする」意味になり、これから戦争争いを止める事を、「和す」「和睦」となり「平和」になります。これから和は「たいらか」という意味にもなります。「おだやか」も同じ傾向でしょう。最後に日本料理には「和す」と言えば、ととのえる、味を調和するという使い方もあり、料理がおいしくなるこつです。令和がおいしい時代になることが期待されます。なお、和は古く日本を倭国と言い、後に倭は和になりました。中国を漢といい、日本と中国を和漢と称しました。明治以降の近代では西洋・欧米を洋と略し、日本と西洋を和洋と称します。