薬師如来、お薬師さんの話-その2-

拝島大師旧本堂大黒さん奥に薬師如来・日光菩薩・月光菩薩、それに十二神将が揃いました。薬師如来、お薬師さんについて前号の続きです。

薬師如来には十二大願医王善逝という称号があります。医王、大医王は人々の病気を何でも治してくれる大変な名医のこと、善逝は世尊など仏の十号のひとつです。ここで仏の誓願についてお話しします。これは阿弥陀如来が法蔵菩薩といわれた時の四十八の本願にも共通しますが、薬師如来の前世の菩薩も誓願が成就し、実現して如来になったのです。だからこの世に薬師如来が居られることは薬師の十二願の一一がすべて実行された結果ということです。そこでお薬師さんに祈れば必ずや願いがお薬師さんに伝って病気が治るのです。薬師如来はその名の通り薬の師、すなわち病気を治す名医の仏です。手に薬壷を持ち、人々の病気を治してくれる、難病の苦しみから救ってくれる仏です。ただ、単に病気を治すだけではありません。もろもろの病気を治した上に、もろもろの感覚器官、眼とか耳とか鼻とか、舌、身、意すべて機能を発達させて解脱、悟りへ導くはたらきを助けてくれる仏なのです。

日光、月光両菩薩を脇士として薬師三尊、その廻りに鎧、兜に身を固めた武将の姿の十二神将を眷属として従え、薬師の修法を行う行者を守護します。薬師八大菩薩の名が玄奘訳から見えますが、詳細は不明です。
それが具体的に詳述されるのは義浄訳の薬師瑠璃光七仏本願功徳経2巻が最初です。すなわち文殊菩薩、観世音菩薩、得大勢至菩薩、無尽意菩薩、宝檀華菩薩、薬王菩薩、薬上菩薩、弥勒菩薩となります。
先ほど申したように義浄訳には七仏薬師が始めて見えますが、後に密教修法にも取り入れられ七仏薬師法として比叡山四箇大法の一になります。息災・安産を主に祈ります。
ここで薬師如来信仰について述べましょう。病気を治してくれる医王でありますが、十二願はその他、衆生が仏となるための諸の障害を除いてくれます。薬師如来は手に薬壷を持っています。薬は病気を治すのですが、病気の種類は身体の障害になるだけではありません。心の病、精神的な病気や傷害、さらに人間生活を行って行くとき、人間はとんでもないこと、例えば人殺し、戦争などがあり、それも大きな病気です。そうした大小さまざまな病気を治してくれるのが薬師如来です。

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