【漢字講座】猿(さる)

△本年の干支は丙申、申歳ですので動物の猿の漢字を説明します。

○猿という漢字は犭偏(獣偏けものへん)に袁です。犭は犬ですが、犬は犬(いぬ)の形を表した象形文字で、犬猿の仲と仲の悪い関係ですから、犬へんではなく、獣偏としたのでしょう。猿は象形ではありません。

猿の右側は袁エンですが、袁にしんにゅうを付けると遠方の遠、国の□に入れると園芸の園です。しかし袁の共通した意味は不明です。袁の漢字は本来は長い衣のさまでした。熟語となると見つかりません。むしろ中国歴代に有名人が居る中国姓の代表の一とすべきでしょう。そこで猿と同じ動物「さる」を表す漢字には猨・猴などが有りますが、もとはこちらの二字が猿の漢字でした。猿猴と熟すのはよく知られます。ただ、蝯という虫へんや豸へんもあります。猨などの右側のつくりはすべて爰です。実は爰は袁に同じのようです。手へんですと応援の援です。媛は若い女性「ひめ」です。でも媛は猨サルだと思わないでください。この爰とは本来は「ここに」「ここにおいて」「これ」「すなわち」という発語の助辞で、「ひく」「及ぶ」という動詞になりました。ただ爰爰と二字重ねるとのんびりしているさま、ゆるやかなさまと成ります。育ちの良い深窓令嬢はとかくのんびりした性格のお媛さまです。日向ぼっこしているサルものんびりしています。唐の大詩人李白の三峡の一首に、

○朝に辞す白帝彩雲の間、千里の江陵一日にして還る、両岸の猿声啼いて住まざるに、軽舟已に過ぐ万重の山
△ヒィ-という中国の猿の声が聞こえるようです。中国の猿と言えば、中国画に描かれた猿を見た昭和天皇が「これは中国の猿ではない。日本の猿だ」と言われた有名な話があります。中国の猿のお尻は赤くないというのが根拠のようです。でもその猿はテナガザルでした、この猿は爰という漢字の原義です。日本の猿の特徴ついでに、猿が付く日本の諺を挙げましょう。猿の尻笑い、猿の人まね、猿に烏帽子、猿も木から落ちる、日本の猿は可相そうです。でも猿という日本の漢字の意味には防犯完璧の戸締用具があり、堤防の繋ぎや三味線の棹と胴の繋ぎを猿尾といい、自在な回転具を猿環といったり、日本人の智恵の結晶の言葉にも成っています。悪い厄難は猿(去る)が一番でしょう。