【漢字講座】暑(しょ・あつい・あつさ)

今回の漢字講座は今夏の猛暑に因み暑の漢字の意味を考えてみましょう。漢字が象形文字とすると、暑い・あつさは象形ではありませんが、上に日があり、その下の者とはいかにも今年の40度を超えた暑さの様子を示しています。ギラギラ照りつける暑さ、思い出すのもゾッとし、汗がたらたら出ます。それにこのネット更新の時期ではまだ十分に暑い。残暑が果てしなく続きます。『説文』による漢字の意味では「暑は熱なり」とあります。『説文段注』では、「暑と熱とは、渾(混)じて則ち一なり。故に許すに熱をもって暑に訓じせしむ」とあり、その『釈名』では「暑は煮るなり。熱の物を煮るがごときなり」とあります。また別の中国古代の漢字の解説書である『正字通』には「暑は、夏の日気の熱なり」とあります。暑はあついだけでなく、あつさともなります。
△暑と同じ仲間の漢字を挙げますと、元旦の旦は水平線上の地上に日=太陽が昇ったさま、元日の初日の出です。なお、旦には夜明け、朝あさの意味があります。昇は日がのぼるで昇るの意味、昂は日があがるであがるの意味、昂によく似た漢字に昴があります。星のすばるのことです。早は日の下の十が甲すなわち人の頭で、日が人の頭上に来る、朝の意味で、はやいという時期の意味にも使われます。昊は日が天空の上にある、そら空の意味です。別に旻も空の意味になります。同じく日が上に在る漢字は合字によって意味が拡張することになります。昆は日=明が比ならぶの意味で同類、親密な関係にある意味で昆弟という使い方があります。昌は日のひかり、日光のことで、晃も同様です。日が三つくっ付いた晶という字は水晶で知られますが、原の意味がひかり、あきらかの意味です。昔も日が下にある漢字ですが、昨日の肉をいい、むかし、きのう、さきの意味です。星も日が上にありますが、もとは複雑な形で日・太陽ほか列星を示します。春は先に本漢字講座で説明しましたが、日と艸と屯の合字です。是は日と正の合字でただしい、是なりの意味です。晏も上に日がありますが空がはれるの意味、晨はあさの意味です。景色の景も日が上にありますが、ひかりの意味とかげの意味と明暗両方の意味があるのは不思議です。旱はひでりですが、日の下に雨降らず、干すという字があります。
△逆に日が下にある字には暮があり、昏も同様に暮れ、ひぐれの意味で暗いともなります。旨という字はうまい、うまいものの意味ですが、天子の上意、命令の意味ともなります。さらに日は漢字の左右に在る、明・時・暇などこれは挙げればきりがありません。
△さて、暑の熟語ですが、今夏は猛暑というより酷暑でしたので、暑の熟語は止めておきます。いずれにしても今年は本当に暑かった、残暑お見舞いはいつまでも続きました。でも立秋過ぎて秋風が吹き、ようやく秋の季節となりました。