○十月二十四日、人を雇って、受戒して出家となった惟正らの坐具2箇を作らせた。当開元寺の僧貞順またこの人を雇うことに責任をもってくれた。坐具一条の料金は、絁(つむぎ)二丈一尺①である。表は八尺四寸、裏八尺四寸、縁料四尺二寸。二つの坐具の料は、すべて計四丈二尺となり、作り手の功(手間賃)は一つを作るに二百五十文を用いる。二つで五百文である。
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古典会だより お彼岸 続き
【漢字講座】果・菓(か)
前回は初夏から盛夏、緑濃くなる頃でしたので、漢字の葉を取り上げました。その前の春は花でした。今回は花が変じて果になり、葉から栄養をもらってまるまると大きくなった果の漢字を取り上げましょう。
釈迦如来、お釈迦さまの話-その3-
お釈迦さまが紀元前6,5世紀ごろ実在した人物であることは、19世紀末にお釈迦さまの生まれた北インドの小国カピラ国都城にほど近い地の同国領内にあるピプラワ-から発見された舎利(お釈迦さまの遺骨)を納めた壷の蓋(ふた)に書かれた古代インド文字の文章からも確認されています。この舎利の一部は現在日本にもわけられています。
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慈覚大師円仁讃仰「入唐求法巡礼行記」研究-その16-
○十月二十三日、沈弁①来りて云う、「彗星の出るは、すなわち国家大いに衰え、兵乱に及ぶ。東海の主鯤鯨の二魚視するは、占うに大怪となし、血流して津②を成す。これ兵あらたまり衆起こり、天下を征すなり。揚州にあらざればまさに上都なるべし。さきに元和九年③三月二十三日夜、彗星東方に出づるに、其の十月に到り、宰相の反に応じ、王相公以上の討殺あり。宰相(王涯)および大官らはすべて二十人、乱殺せられしものは計るに万人以上なり」と。僧らは事いまだ定かならずといえども後のためにこれを記す。夜に入り曉に至るに、房を出で、この彗星を見た。東南隅に在り、その尾は西を指す。光は極めて分明にして、遠くにしてこれを望めり。光の長さは合わして十丈(30メ-トル)以上有り、諸人みな云う、「これ兵剣の光なるのみ」と。
古典会だより-ごはん・お施餓鬼・お盆さま-
西暦720年編纂の『日本書紀』には、推古天皇十四年(606)夏四月八日、銅・繍の丈六(1丈6尺、約4・8メ―トル)の仏像を飛鳥寺(のちの元興寺)金堂に安置し、(食事を供える)斎を設く。これにまかり集える人ども、あげて数うべからず。この年より初めて寺ごとに、四月八日、七月十五日に、設斎すとあり、お釈迦さまの誕生祝いの灌仏会かんぶつえ、盂蘭盆会うらぼんえの始まりとされています。ついで斉明天皇三年(657)には仏教世界の中心の山である須弥山シュミセンの像を飛鳥寺の西に作り、また、盂蘭盆経のおがみ設くとあります。
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【漢字講座】葉(は)
前回は春、百花満開の頃でしたので、漢字の花を取り上げました。その後花が散り、花の季節が終わり、葉桜から新緑、さらに深緑と、緑がますます濃くなりました。樹木の緑、葉の季節です。そこで漢字の葉を取り上げましょう。
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釈迦如来、お釈迦さまの話-その2-
お釈迦さまを仏像の話しとして取り上げていますが、ここで仏像について一般に誤解があるようなので、正しい考え方を述べておきましょう。その誤解は仏像は仏教徒の信仰の対象だ、仏教徒は仏像を拝んでいる、礼拝しているということに関係するものです。信仰の対象は人間によく似た仏さまですから偶像だといい、またこれまでも本講座で種々の仏像を取り上げてきましたから仏教は多神教という主張もあります。でもそういう見方は絶対正しくありません。ただ、時代により地域によりそうした仏像の偶像的傾向が現れ、弊害が蔓延ったことは有ります。実際、お釈迦さまの国インドには土俗的な宗教にヒンドゥ―教があり、それは多神教で偶像崇拝と言って良いでしょう。仏教は八世紀に最後の繁栄をみせた後に次第にヒンドゥ―教に取り込まれ、その一宗派として残りました。この時仏像は偶像になっていました。
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慈覚大師円仁讃仰「入唐求法巡礼行記」研究-その15-
○十月十九日、惟正・惟皎を受戒①せしめんがために、判官録事に牒報す。大唐文宗大和二年(828)②以来、諸州多く密かに受戒を与うるがために、官符を諸州に下し、百姓が剃髪して僧となるを許さず、ただ五臺山に戒壇一処③、洛陽終山に瑠璃壇一処④のみ有り、この二よりほかは皆悉く禁断せり。これに因り、所由(所管庁)に報じて処分を取ることを請うなり。
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古典会だより-桜・サクラ・さくら-
△ウメ梅、モモ桃、サクラ桜、アンズ杏、カリン花梨、ボケ木瓜、サンザシ山査子、ヤマブキ山吹、ノイバラ野茨、ハマナシ浜梨、キンミズヒキ金水引、ワレモコウ吾木香、ビワ枇杷と、花の咲く順に並べての共通点はバラ科で、色、姿、形ともに美しく、多少の差はありますが、花に芳香があり、薬効成分も備わっていることです。とりわけ桜は、北半球の温帯ないし暖帯に分布し、特に東アジアに多く、十数種の野生種と自然雑種約百余種、園芸品種は三百種近くあるといわれます。春、葉の展開に先立って白色または淡紅色(いわゆる桜色)の五弁花を開き、非常に美しく、八重咲の品種もあります。
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