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釈迦如来、お釈迦さまの話-その22-

天・守護仏 南都興福寺の八部衆の阿修羅に続いては、八部衆最初の天について説明します。『妙法蓮華経』法師功徳品に、次の一節があります。「復た次に、常精進菩薩よ、もし善男子・善女人ありて、この法華経を受持し、もしくは読み、もしくは誦し、もしくは解説し、もしくは書写せば、千二百の耳の功徳を得ん。 続きを読む

古典会だより-春の七草ホトケノザ

春夏秋冬、四季の変化に恵まれた日本では、古来、各季節の変わり目、節目フシメを大切にして来ました。ただし、明治までは暦は旧暦で、日を数えるにも、ほぼ一カ月のズレがあります。しかも旧暦では一・二・三月は春、四・五・六月は夏、七・八・九月は秋、十・十一・十二月は冬ですから、一月の年賀は初春、新春となり、七夕は秋の季節を表わす季語です。 続きを読む

【漢字講座】第34 梅(バイ・メ、うめ)

令和という年号は『万葉集』巻五の「梅の宴三二首」の序文から採ったということです。そこで梅の漢字を考えましょう。梅は音がバイ・メ、訓が「うめ」です。ただ、梅は六、七世紀頃、中国江南、呉の地方から渡来した植物、梅の呉音であるメの写音で、古くはムメと言ったようです。 続きを読む

古典会だより-菊-

キク科の中でも代表的で美しい花の総称。多年草で、茎の下部は木質化しますが、草本ですから草冠が付きます。菊は漢字の音が「きく」、日本語の呼び方も「きく」です。中国では50万年以上も昔の菊の原種の化石が発見されており、菊は花の美しさのみならず、香りの良さも相俟って不老長寿の霊的な薬草として尊ばれました。奈良時代に日本に伝わった菊は、観賞用としてではなく薬草としてでした。あきのはな・いなでぐさ・ちぎりぐさ・かたみぐさ・よわいぐさ・ももよぐさなどとも言われ、また香りの良さから隠君子、延年、延寿客とも言われました。
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【漢字講座】第33 子(ね、ねずみ)

本年の干支は子(ね、ねずみ)、子の音はシです。象形文字で人の頭と手足の形とに象ります。また赤ちゃんが揺り籠の中に足を合わせた格好で丸くなっている形とも言います。宮詣での赤ちゃんを想像してください。本義は父母の間に生まれた子供さんを意味します。本来、男女を問わずすべて子ですが、儒教倫理と男系優先の家族制度が確立した二二〇〇前の秦漢時代より、中国では子は男子に限るという風潮になって今日に及び、2千年以上わたる中華帝国の歴史で皇帝、王になったのは唐(周)武則天ただひとり、彼女も中国史では則天武后とあくまで皇后扱いです。
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釈迦如来、お釈迦さまの話-その23-

仏像の展開 これまで述べた仏像は釈尊中心でした。これが釈尊以外の諸人に造像が展開します。もっとも初期仏教は釈尊とその説法を聞いた直弟子だけでした。直弟子たちは釈尊のお顔を見て説法を聞きました。しかし、釈尊のお顔を見ることの出来る人は限られています。耳で聞く人は見る人より多いのです。耳で聞いた人は他の人に聞いたことを口で話します。それを聞いた人はまた他の人に話します。『妙法蓮華経』法師功徳品に次の一節があります。
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慈覚大師円仁讃仰「入唐求法巡礼行記」研究-その37-

○二月二十七日、留学僧は揚州に向くために随身物を安排(整理)した。朝の斎食後、日本国大使は留学僧に東絁①三十五疋・帖綿十畳・長綿六十五屯②・砂金二十五両大両③を賜り、学問料に宛てしめた。朝貢使は勾当王友真に酒を賜り飲ませ、別れを惜しんだ。 続きを読む