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古典会だより-桜・サクラ・さくら-

201604_02△ウメ梅、モモ桃、サクラ桜、アンズ杏、カリン花梨、ボケ木瓜、サンザシ山査子、ヤマブキ山吹、ノイバラ野茨、ハマナシ浜梨、キンミズヒキ金水引、ワレモコウ吾木香、ビワ枇杷と、花の咲く順に並べての共通点はバラ科で、色、姿、形ともに美しく、多少の差はありますが、花に芳香があり、薬効成分も備わっていることです。とりわけ桜は、北半球の温帯ないし暖帯に分布し、特に東アジアに多く、十数種の野生種と自然雑種約百余種、園芸品種は三百種近くあるといわれます。春、葉の展開に先立って白色または淡紅色(いわゆる桜色)の五弁花を開き、非常に美しく、八重咲の品種もあります。
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古典会だより-春の七草・詳解・芹(せり)-

tsubaki『枕草子』正月に。
○七日、雪まの若菜つみ、あをやかに、例はさしもさるもの目近かからぬ所に、もてさわぎたるこそをかしけれ
○七日の日の若菜を、六日、人の持て来、さわぎとり散らしなどするに
とあるように、正月七日の若菜つみは、野遊びと食べる楽しみを兼ねたもので、五節供の一つとされ、七日に七草つまり七種類の菜を粥にして食べ、春の祝い、福寿の願いとしました。ただし、明治時代以前は旧暦ですから、今の暦とではほぼ一カ月遅れの期日です。
△七草の名が特定し始めは室町時代ころからで、一条兼良の『年中行事秘抄』や『拾芥抄』などに書かれ、江戸時代には七草の節句で、「セリ、ナズナ、オギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロこれぞ七草」と定まりました。
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古典会だより-松-

003△松はマツ科の常緑喬木。葉は針状で、二本葉のアカマツ・クロマツが多いのですが、五本葉のゴヨウマツ五葉松、チョウセンマツ・ヒメコマツ・ハイマツ、さらに一本、三本のものやカラマツのように落葉種もあり、世界では百種を超えます。松まつの名は樹齢が長く、風雨に耐え、霜雪の時をよく過ごし、常緑の色を堅固に保つのを、褒めての美称とされます。 続きを読む

古典会だより お彼岸 続き

pumpkin1510三月二十一日ころの春分、九月二十三日ころの秋分の日は、昼と夜の長さが全く同じで、その日太陽は真東から昇って真西に沈み、その前後三日間を含む七日間を彼岸と言い、初日を入り、春分・秋分の日はお中日、最後の日は明けと言われ、旧暦では二月・八月でした。春分は太陽が冬至から少しずつ勢いを増して来て、夜と昼の長さ、寒暖の差の分岐点であり、秋分は夏至から猛威を奮った太陽が勢いを弱め、昼と夜の長さ、暑さ寒さの節目と考えられ「暑さ寒さも彼岸まで」。ただ、時には「なにごとぞ彼岸過ぎてのこの暑さ」もありますが。

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古典会だより 蓮・ハチス・お盆さま

hasu201506ハスは熱帯アジアの原産で、アジア・オ-ストラリアに分布し、世界の熱帯・温帯で栽培され、野生化しており、わが国には縄文末期に渡来したとされ、1951年、千葉県千葉市検見川の約2千年前の地層から発見されたハスの種子が、大賀一郎博士の努力で発芽し、古代ハスと名付けられたのは有名です。地下茎は節が多く、泥の中で枝を分け、秋の末には先端が肥大化して蓮根レンコンを作り、葉は円形で楯状に柄が付き、中は浅くくぼみ、蝋ロウ質を分泌、また表面の多数の突起の間の空気のため、水を受けると丸い水玉となり白く光ります。柄は円柱形で直立、短いとげがあってザラつき、内に数条の気道が通り、切ると乳汁のような白い汁があふれ出し、細い糸があまた尾を引きます。春、小さな浮き葉が出て後、楯形の大きな葉が出、秋末に出る小さな葉は「とめ葉」といい、蓮根ができた目印とか。葉茎と花茎は区別があり、主な葉茎に寄り添って花茎が出、高さは1~2メ-トルにもなり、6,7月の朝日を受け、白・紅・淡紅色の花が芳香を放って開き、数時間後には閉じ、翌朝再び開き、3~4日後に散ります。花が開くと既に花托には蜂の巣状の穴があり、ハチスの意味が分かります。中には果実が入っています。この果実は熟すと黒色で固く、蓮肉または蓮子と呼び、軽く煎ったり、粉末にして滋養強壮の薬効ありとか。黒く固い皮の下には乳白色の養分と緑色の幼芽が用意されており、千年以上も発芽力を失わない生命力に驚きます。根の切り口の穴が茎の穴から花托の実に一貫して繋がります。

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古典会だより 端午の節句

五月五日は端午の節句。端は初め、午は五に通じ、五月最初の五日の節句の意味です。春夏秋冬の四季のめぐり、四季折々の自然に恵まれた日本では、千年以上前から節目を大切にして、節供が行われました。正月七日、三月三日、五月五日、七月七日、九月九日の五節供で、江戸時代、四百年前からお節句となり、いずれも普段と違う特別のしつらいをし、事を行い、特別の食べ物を賞味して来ました。共通するのは、その時季にめぐり会えた喜びと、災いを避け、順当な将来への期待でしょう。
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古典会だより お参りの心 鐘

kane01寺社の本堂、社殿の前には、金属製の鈴や、扁円・中空で下方は細長い口のワニグチ鰐口が下げられ、参詣者は紐や綱を振り動かして打ち鳴らしお参りをします。当然の作法との説明に外国(キリスト教国)の客人から、何故ですかと問われ、他家を訪問の際のノックと似ていますと答えたら、大いに納得されました。紐や綱を握り、軽くコンコン、カランカランと打ち鳴らし、attention please で、御本尊の注意を引いてから、心静かにお願いを申し述べるわけです。
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古典会だより 秋の七草

『万葉集』に山上憶良(六六〇-七三三)の歌に
○秋の野に咲きたる花を指折りかきかぞふれば七種の花
○萩の花、尾花、葛花、なでしこの花、おみなえし、また藤袴、あさがほの花
と、秋の七草は千三百年以上も前から、観賞用だけでなく、食用、薬用効果ありの有用なものでした。
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古典会だより お彼岸

三月二十一日ごろの春分、九月二十三日ごろの秋分の日は、昼と夜の長さが全く同じで、その日太陽は真東から昇って真西に沈むというのです。太古より人類は太陽と月や星の動きを注目し、観察し、関連づけ、知識や智恵を得て来ました。

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古典会だより 七夕(たなばた)・お施餓鬼(せがき)・お盆(ぼん)さま

七月七日は七夕の節句、後漢の2世紀ごろより、牽牛(けんぎゅう)・織女(しょくじょ)の二星に見立てられ、六朝の5、6世紀ごろより、年に一度の逢瀬の話となり、宮中では乞巧奠(きつこうでん)の節会として、山海の産物を供え、天皇の星合御覧・詩歌・管弦が行われました。

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